お爺ちゃんは団扇の絵を見て笑い終わると、今度は嫁に(麦飯を作れ)と言いました。

嫁はお爺ちゃんの目の前に、白米の飯とおかずを出しています。
(それなのに、どうして麦飯を作るのかな?)と不思議に思いました。

いつも麦飯なんかお爺ちゃんは食べません。
嫁とお婆ちゃんは麦飯を食べることはありますが。

お爺ちゃんが(麦飯を食いたい)と、あまり言うので3合炊きました。
そうしたら(麦飯は美味しいのう)と言ってお爺ちゃんは、パクパク食べました。

食べ終わると(戸を開け)とお爺ちゃんは言いました。
夜なので家の戸は全て閉めています。
お婆ちゃんが(どうして戸を開けるの?)と聞いたら、お爺ちゃんは(俺はもう帰る)と答えました。
嫁は訳が分からず、おどおどしていましたが息子とお婆ちゃんはわかった風で、親子でこそこそ話して息子がさっと戸を開けました。

戸が開くと同時にお爺ちゃんは、今まで戸の傍に立っていたのに思い切り転びました。
転ぶと同時にお爺ちゃんは気が付き(あれもう家か?)と言いました。