工場の奥にはハウスの父、藤本茂雄がいた。
他の従業員もいたが、そろそろお昼でお弁当を開きだした。

涼子は1番奥の工場長の部屋で、キャサリンと茂雄と3人でお寿司を広げた。
キャサリンがお茶を用意してくれた。

寿司

お寿司を食べながら藤本夫婦は、昔話を始めた。
昔、茂雄が若い頃自営業をして儲かっていたらしい。

その時にアメリカ人だったキャサリンと結婚した。
子供のハウスも出来て、順調に仕事は進んでいた。

ある日、茂雄がお得意先に集金に行ったら、事務所には誰もいなかった。
得意先が経営難になり逃げたんだった。

そんな事が何回か続いて、茂雄は借金を作った。
それでも借金を返しながら、自営の仕事を続けていた。
でも、生活は苦しくなり妻と子を、アメリカの妻の実家に送った。

茂雄一人暮らしになり、頑張って工場を経営していた。
茂雄は経営者だ。自分が金がなくっても従業員には金は払った。

1日に茂雄は、おにぎり3個しか食べれない日もあった。
朝1個、昼1個、夜1個だ。
自分一人で自分の使う金は節約して、工場の経費、人件費は払い何とか経営していた。
家族がいない分、節約は出来た。

ハウスは16歳になり、日本の医科大に行きたいと言い出し、妻子は日本に帰って来た。